2022-01-01から1年間の記事一覧

その後を生きる

「失敗から学べばそれは失敗ではなくなる」(213p)は、洗脳から抜け出した人だけでなく人生で躓いたことのある多く人の心に届くだろう。そして、二十年に及ぶ過酷な日々を生き抜いた経験は何一つ無駄にはならないのだ。著者のようにそう思って生きていけるか…

14億人の社会

一党独裁体制の中国において民主国家の日本よりも社会がダイナミックな変化をしてきたのがアイロニーだ。指導者(独裁者)が代わると国家の方針も180度変わるということか。巨大な実験国家でもある。 ふしぎな中国 (講談社現代新書) 作者:近藤大介 講談社 Amaz…

もう一つの子どもという立場 

「愛を返せない人に愛情を求め続けるのはもうやめて」「実の親がくれなくても代わりにくれる人はいるから」(第6話) 「親が何かを我慢していると子どもに影響が出るってこと忘れないでね」(13話) 共に主人公が高校生のときに入院した精神科病院の看護師の言葉…

子どもという立場

宗教が子どもだけでなく親としての生き方も縛りつけてしまうのかと暗澹たる気持ちになった。 全7話の中で親が子どもの生き方を認めようとする話もあったのが救いだが、それこそ奇跡なのかもしれない。 「神様」のいる家で育ちました 〜宗教2世な私たち〜 (…

宗教団体

大学生のとき下宿先に原理研究会と第三文明研究会が交互に勧誘に来ていた。当時は正体を隠すことなく原理研と名乗っていた。一方、第三文明という名前からは宗教団体とは気がつかなかった。 手段と方法はまるで異なるがどちらも政治に深く関わっている。宗教…

ここに至る道筋

元総理は日本を見下すこの団体の正体を知っていたのだろうか。彼の政治信条とどのように整合性を図ったのだろうか。国民に知られなけれは良しとしたのだろうか。 いや、もとから確たる思想や理念などなかったのだろう。statesmanではなかったのだ。 自民党の…

政治の力

あの頃、霊感商法や合同結婚式がマスコミを騒がせていたその裏で、統一教会と政治家はお互いの利益だけを求めて深く関わっていた。 30年前と今では登場する政治家の名前が入れ替わっただけでやっていることは何ら変わらない。 この本では登場しなかった宗教…

たかがタイトルされどタイトル

話の内容は覚えているがタイトルが思い出せないことが多々あるので、この本に書かれていることを笑ってばかりはいられない。 サリンジャーの有名な本『ライ麦畑でつかまえて』を、『…で気をつけて』と気が付かないうちに自分でタイトルを変えてしまったこと…

「正しい」を考える

誰もが情報を発信できる、誰もが情報を受け取れる時代に新型コロナのパンデミックが始まった。私たちの誰もが情報との接し方が試された。結論を急がずに一度立ち止まって考え続けてみる。「正しい」ことは簡単に決まるものではない。 新型コロナとワクチン …

宗教リスク

八百万の神々だけでなく、お釈迦様、キリスト教まで受け入れる日本人の柔軟なの宗教観については肯定的に思っていた。 …日本には基準となる背骨のような宗教がなく、信教の自由の幅が大きいために、カルトを問題ししたり監視したり批判することが少ないのです…

領土と民族

古代ゲルマンの失地を回復してドイツ民族中心の大ゲルマン国家の建設を目指すヒットラーの野望は、ロシアのプーチン大統領に重なる。 ヒットラーとの宥和政策のためチェコを見捨てた英仏とのミュンヘン協定は、ウクライナ東部の紛争を巡るミンスク合意を連想…

場所の悲哀

今から30年以上前、本島人の最初の李登輝総統が誕生して民主化を進めている頃の台湾紀行である。 台湾の歴史、地理、民族、日本との関係については不勉強な私にとっては初めて知ることが多かった。 親日国家と言われるが、それに甘えてはいけないことに気付…

戦争の顔

戦争の後の人々はどんなに幸せな人たちだろう! どんなにすばらしい生活が始まるんだろう こんなつらい思いをした人たちは お互いをいたわりあう それはもう違う人たちになるんだね そのことを疑わなかった これぽっちも ところがどうよ… え? またまた殺し合…

「死」の意味

生き物が生まれてくるのは偶然で死ぬのは必然(p202)で、奇跡的な命を次の命を次の世代へと繋ぐために死ぬ、命のたすきを次に委ねて「利他的に死ぬ」(p203)。 私が生まれて死ぬことにも意味があったのだと思うことができた。 生物はなぜ死ぬのか (講談社…

最前線の現場

なんの準備もなく突然新型コロナ対策の最前線に立たされた保健所。本来の業務である公衆衛生は言うに及ばず医療、検査、相談、入院調整、マスコミ対応とコロナに関するありとあらゆることが保健所に降り掛かってきたきたことがわかったが、読んでいて苦しく…

ゴミから見える生き方

高価なセレブゴミだががゴミの量は少ないお金持ちは自分のためにお金を使っている。 著者にはそれが「自分の認めた以外には一円もお金を払う気がない」という哲学に見えてきたとのこと。 ゴミ清掃員の日常 ミライ編 あたらしい時代で、しあわせになるゴミ出…

デジタル先進国

1998年に就任した金大中大統領の時代に電子化、情報化が集中的に始まったとのことなので、日本は20年以上の周回遅れである。 ただし、今世紀の未来はどうなるか予測できないが… 韓国社会の現在 超少子化、貧困・孤立化、デジタル化 (中公新書) 作者:春木育美…