2018-01-01から1年間の記事一覧

島国日本の立ち位置

この本の出版は2013年、パククネ大統領が就任した年である。 今年に入って朝鮮半島情勢は激動の時代を迎えたが、概ねこの著者の主張通りに動いている。 「世界は地政学の時代に戻った」(p228)のである。東アジアだけでなくて、世界の至るところで。 中国に立…

儒教型の法治

徳によって国を治める徳治に慣れ親しんだ儒教の国は、法律によって国を治める法治主義とは相容れない…こう考えるとこの国を理解できるかもしれない。 「中二病」という言葉が国民性を表すものとして使われるとは思いもよらなかった。 米韓同盟消滅 (新潮新書…

実験国家の未来

中華人民共和国ができた当初から、この国はそのときどきの指導者が頭の中で思い描く結果を求めて幾多の実験を行ってきた。 習近平の「中国の夢」は、2049年5億人の超高齢社会となって実現するのであろうか。 未来の中国年表 超高齢大国でこれから起こること …

朝鮮王朝の王と王妃

韓流時代劇を観ていると多くの王様が登場するが、どの時代の王様かさっぱりわからない。265年続いた江戸幕府の将軍様はⅠ5人だったのに対して、朝鮮王朝は520年27人の王様がいた。 知れば知るほど面白い 朝鮮国王 宿命の系譜 (じっぴコンパクト新書) 作者: 康…

どっちもハズバンド

NHKBSプレミアムで放送された同タイトルのドラマからこの本を知った。「?」なタイトルに釣られて何気なく観たが、ここ数年で一番の作品だった。ドラマはこの原作にそって忠実に作成されている。 弥一の心の変化が手に取るようにわかるが、それは読み手である…

あとさきの「さき」

「次にこの石碑が建つときは、それは同朋の手によって慰められ、労われながら建てられて欲しいと思います」(p306) 私はこれが著者の夢の「さき」となることを願うばかりである。 夢のあとさき――帰郷祈願碑とわたし 作者: 黒田福美 出版社/メーカー: 三五館 …

国境を超えやすい人びと

著者は、多くの日本人がまだ韓国が見えていなかった頃からの韓国ウォッチャー。日本はかの地には「足が抜けない」ほど深入りしてはいけない(p326)。冷たく聞こえるが、この本には韓国への愛情がにじみ出ている。 隣国への足跡 ソウル在住35年 日本人記者が追…

意味もなく好きに生きる

一年ほど前書店で平積みになっていた『定年後』(楠木新著/中公新書)を手に取って数ページ読んでみたが、元の場所に戻した。 数ヶ月後、新に平積みに成っていたこの本をまた数ページ読んで、今度は購入した。先の本がベストセラーになりアンチテーゼとして企…

神は細部に宿る

(嫌)韓国論ではなく日本論。貧乏神だけでなくトイレ神様まで八百万の神がいる日本で育った私にとって、大学の「BIBLE」の講義は難解であった。 人を楽にしてくれる国・日本~韓国人による日韓比較論~ 作者: シンシアリー 出版社/メーカー: 扶桑社 発売日: 201…

描かれなかった時代

「鬼胎の時代」昭和前期は司馬遼太郎の小説に描かれなかったが、そこに至る過程を丁寧に記している。彼の子どもたちへのメッセージ「共感性と自己の確立」は日本人に向けた遺言である。 「司馬?太郎」で学ぶ日本史 (NHK出版新書 517) 作者: 磯田道史 出版社/…

王国のバックヤード

ディズニー関連の自己啓発本はベストセラーになっていて何冊かは読んだことがある。「ゲスト」「キャスト」という概念は新鮮に感じたが、どこか腑に落ちない気もした。 それが何であったかがフィクションであるこの本で明確なった。ラストがハッピーエンドだ…

権力者の抱える不安

少数民族、キリスト教徒、貧困層、同性愛者、女性活動家など社会的弱者を締め付ける絶対権力者。彼らがシーチンピンを恐れるのではなく、シーチンピンが彼らを恐れているのである。 ルポ 隠された中国: 習近平「一強体制」の足元 (平凡社新書) 作者: 金順姫 …