それぞれの老後、それぞれの介護

施設の入居者はそれぞれが多様な生きざまを見せてくれる。60歳の介護ペルパーである著者は彼らの人生に触れられることが喜びであるという。(p204)

そう思うのは彼のそれまでの経験値から来るのだろう。

登場する人たちを他人事とは思ってはいけない年齢になった。

 

 

 

 

 

まずは手始めに…

B5サイズで各項目1頁(見開き1頁)で読みやすい。カラフルな色使いがアクセントになっている。

焦らず出来るところから始めようという気になる本である。

 

 

 

オリエントから見た世界史

オリエントとは西アジアとエジプト、地中海東岸の地域で古代においては最も影響力を持っていた。

そこではイスラム教は柔軟性があり最先端の文化を取り入れてさまざま地域で融合させた。

歴史の勝者によって書かれた、西洋から見た世界史を学んだ私には興味深い内容だった。

ユーラシア大陸、シルクロードが登場する壮大なスケールの歴史は羨ましくもある。

 

 

 

ケアマネさんのお仕事

誰もが自分のテリトリーだけを守って仕事をすると境界線上にある部分は抜け落ちてしまう。それをカバーしようとすると他の領域に踏み込むことにもなり躊躇することも多い。

ケアプラン作成だけにとどまらないケアマネジャーの仕事は想像以上だった。

 

 

 

親という家族

本のタイトルとなった作品だけでなく、『泣いてんじゃねえよ』、『縋ってんじゃねえよ』と3作品を集録。

高校時代から大学そして就職してからと、介護が必要な母親がいる家族との関わりを描いている。

両親と共に3人が一室で暮らす距離的近さだけでなく介護を理由に娘にべったり寄りかかる母親、その娘を当てにする父親との心理的な近さが、読者の私までも圧迫していった。

自宅を出た大学以降は、物理的距離が生まれたせいか3人の関係性に変化が生じたのが救いである。

母娘共に泣きたくなるような状況で、テレビから流れた小島よしお『でもそんなの関係ねえ!』の叫びが2人に体の中から出てくる笑いを呼び起こした。

テレビ制作会社に就職した主人公は、ヤングケアラーを疲弊する若者ではなく介護によって技術を得た強い強者として転換する企画を実現したいと思っている。

 

 

大陸の民

中国のサッカーは「チームプレーの乏しい全員FWサッカー」(p110)だそうだ。かつて「パスを回してばかり」と言われた日本とは異なる民のようだ。

昨今日本に移住する中国人に対する日本人の思いは複雑だが、古来より中国の混乱期には多くの中国人が渡日しているとのことだ。今もその流れに沿ったものなのだろうか。

 

 

母という弱点

金正恩の生母高容姫が大阪出身の在日コリアンであることは知っていた。だが、彼女の両親がそれぞれ複数回結婚し日本に住む正恩の血縁者が50人以上いるという事実(p6)には驚いた。

在日でありながら北朝鮮では女性として最高の地位(金正日の妻)を得たが、妻であるときと同じく「母」としてもその存在はタブーのまま隠され続けている。

私はどうしてもこの本に登場する日本に残った彼女の異母兄と対比してしまう。80代後半の彼は人生の荒波を乗り越えて今は経済的にも安定した生活を送っている。彼の子どもたちにとって、父はタブーな存在ではない。