コーシローによると、花の香りは人が恋したときの匂いに似ているそうだ。高校で12年間暮らした犬のコーシローは、頭を撫でてくれる生徒たちの恋の匂いを感じてきた。
最後の章では、登場人物たちのその後が書かれていて心に静かな安心感が広がった。
ところで、私には高校時代に置き忘れた何かがあるだろうか。
テレビの情報番組やネット上に氾濫するコロナに関する情報を整理しながら、質疑応答の形で真実に迫っていく。医学的な記述についていけない箇所もあるが、自分の頭で考える訓練にもなる。各章ごとに簡潔に要点がまとめられいて有難い。
情報リテラシーをどのように身につけるか、試行錯誤しながら自分の頭で考えるという王道を歩むしかないようだ。
もし一年前にこの本を読んだら、『基本再生産数』という言葉には馴染みがなく、軽く読み飛ばしていただろう。今では何の違和感もなくテレビから流れるこの言葉を。
空地に多くの棺を仮埋葬する場面は東日本大震災が思い浮かんだが、コロナが蔓延している南米のニュースでも映し出されていた。
主人公の行動(誠実さ)で離れ離れだった幼子と母が一つのベッドで(永遠の)眠りにつく場面が‥次のカットでは空っぽのベッド…一番切なかった。
「絶望に慣れることは絶望そのものよりさらに悪いのである」
「ペストと戦う唯一の方法は誠実さということです」