この本の出版は2013年、パククネ大統領が就任した年である。
今年に入って朝鮮半島情勢は激動の時代を迎えたが、概ねこの著者の主張通りに動いている。
「世界は地政学の時代に戻った」(p228)のである。東アジアだけでなくて、世界の至るところで。
韓流時代劇を観ていると多くの王様が登場するが、どの時代の王様かさっぱりわからない。265年続いた江戸幕府の将軍様はⅠ5人だったのに対して、朝鮮王朝は520年27人の王様がいた。
知れば知るほど面白い 朝鮮国王 宿命の系譜 (じっぴコンパクト新書)
NHKBSプレミアムで放送された同タイトルのドラマからこの本を知った。「?」なタイトルに釣られて何気なく観たが、ここ数年で一番の作品だった。ドラマはこの原作にそって忠実に作成されている。
弥一の心の変化が手に取るようにわかるが、それは読み手である私の心の動きでもある。
「次にこの石碑が建つときは、それは同朋の手によって慰められ、労われながら建てられて欲しいと思います」(p306)
私はこれが著者の夢の「さき」となることを願うばかりである。
著者は、多くの日本人がまだ韓国が見えていなかった頃からの韓国ウォッチャー。日本はかの地には「足が抜けない」ほど深入りしてはいけない(p326)。冷たく聞こえるが、この本には韓国への愛情がにじみ出ている。
隣国への足跡 ソウル在住35年 日本人記者が追った日韓歴史事件簿